12月 242011
 2011-12-24T00:35:12+00:00

猫と戯れる

こんにちは。
今回は「猫と戯(たわむ)れる(洋題:My Momentary Lover)」というやや長編のエントリです。
いつの間にやらすっかり年の瀬。キーを打つ手もかじかむ今日この頃ですが、そんなこととは関係なしに、2年前の春に撮影した写真を元に、ちょっぴり切ないショートストーリーをお送りします。
そう、それは穏やかな日差しに包まれた春の午後。
満開の桜に導かれ、ふらりと公園に立ち寄ると、一匹の猫が寄ってきました。
猫と戯れる01にゃー。
猫と戯れる02
すりすり。
おお、よしよし。
猫は、陽を浴びて温もった柔らかな体を、左のふくらはぎあたりに押し付けながら後ろへと回ると、やおら振り返り、うっとりした表情を見せながら、今度は後ろから前へと、私の脚を優しく撫でるのでした。
猫と戯れる03
ころり。
(※たばこのポイ捨てはやめましょう)
猫と戯れる04
にゃー。
猫は私の足元に寝転んで、“ねころりころり”(※寝返りを繰り返すような猫の媚びる仕草。荒木経惟氏が命名したといわれる)を始めました。
砂汚れもいとわずに繰り返されるしなやかかつ大胆な肢体のうごめきは、胸の鼓動を早まらせ、うらはらに目は瞬きを忘れ、彼猫を見つめ続けるのでした。
そして私は、そのあからさまな色仕掛けに、恥ずかしながら、抗うこともできず、とうとう恋に堕ちたのでした。
猫と戯れる
……。
猫と戯れる06
ころり。
にゃあー。
「にゃあ」なんと甘美な響きでしょう。
猫と戯れる07
そのときです。
猫は突然、どこか一点に神経を集中させるような真剣そうな表情を見せ、頭をもたげました。
猫と戯れる08
「こっち…!」
もはや彼猫の瞳の中に、私の姿はありませんでした。
猫と戯れる09
猫は、新たな標的から目と耳を逸らさぬまま素早く身を起こすと、そちらを凝視し、接近の機会を伺っておりました。
猫と戯れる10
すたすた。
獲物たりうると確信したのでしょう。彼猫は振り返りもせず、ゆっくりと、私の許を去ってゆきました。
猫と戯れる11
その行く手には、満開の桜の下、サラリーマン風の男性がベンチに腰掛けており、今まさに弁当を食べようとしているところでした。
私は、後姿を見送りながら、「さよなら。楽しかったよ。元気でね…」と醒めた調子を装いながら、小さくつぶやきました。左のこむらには、彼猫の温もりがいつまでも優しく残っておりました。
(※たばこ、空き缶、紙くずのポイ捨てはやめましょう)
おしまい
10月 292008
 2008-10-29T12:31:49+00:00

33.jpg

こんにちは。

えー、本当は 『HBファイルコンペ』や「バイト探し」など、
こなさなければいけないイベントが目白押し(え?2つだけですが…)なので、
ブログの方はしばらくお休みしようと思っていたのですが、
書いとかないと忘れてしまいそうなのでそれからお休みにします。

↑上のイラストはお蔵入りイラスト『物干し竿』(2004-2005あたり)の一部を使って
タイトルにしたものです。
『珍コミュニケーション』というのは、僕の身の回りに起こったちょっと変わった出来事を
記していくシリーズに付けたタイトルで、以前書いた『0083は二度死ぬ』を第一回目として
今回は第二回目ということになります(『0083』を「オバサン」と読まそうとしたのだが、
これでは「大オバサン」だ。どーでもいいけど)。以降お楽しみに。

さて、先日僕はコインランドリーに行きました。
これを読んでくれている方のほとんどのお宅には「洗濯機」とかいう超便利なマシーンが
あるかと存じますが、生憎(あいにく)、僕は貧乏なので(あんま欲しくないし)持っていません。
それゆえ洗濯もんをたらふく溜め込んでそこへ行くのです。

で、晩の8時ごろに店に着き、無人の店内を見渡し、
「あれ、今日は僕一人か(大体誰か居るのです)」とか考えながら百円玉を3枚機械に投入し、
「シャワーボタン(洗濯槽を10から20秒ほど洗う。
…気休め程度ですが、最近のにはそーゆう機能が付いている)」を押し、
それが終わると洗濯物を放り込んでいきます。
途中で申し訳程度の洗剤が自動投入されますが、
それだけでは足りないので自前の洗剤(粉石鹸)を入れます。

するとその時、
「あ゛あーー入れたらアカン!!」と、店外から怒鳴られ、
ビビった僕は手を止めて声の方へ振り返りました。
汗の染み込んだよれよれのTシャツを着たお爺さんが慌てて入ってきます。
僕は無視して作業を続けようとしましたが、
「それは洗剤入れたらアカンのやー。」
と老人に怒られました。

「この機械は洗剤の泡の量を感知して動きよるさかい、
余分に洗剤入れると止まらなくなるんやー。
それに自動で洗剤入ったやろ?
すごい濃い強力な洗剤やからそれだけで充分なんやー。」

自動で入る洗剤だけでは全く泡が立たないので、本当にそれを感知するのかどうか
きわめて疑わしいところです。

「でも、自動で入る洗剤だけじゃ足りませんよ。ほら、全然泡たってないし。」

「いやーー、それはそういうそれやから、充分足りてるんやー。
もうすごい濃いヤツだからもうそれだけで汚れ落ちるんですわー。
ね、ここにも”洗剤は自動で入ります”って書いたあるでしょ?
それやのにみんな自分で洗剤入れはるからこんなんすぐ故障して。
もうかないませんわ。
ここにはっきり書いたあるのになあ。」

「そんなによく故障するんですか?」

「ええ、もうしょっちゅうですわ。
せやからこうやってしょっちゅう見に来てるんですよ。
これ去年買った最新の機械ですよ。
この、”シャワーボタン”っての最初押さはった?
これ押すと最初一分か二分くらいシャワーで中を洗って
衛生的に使えるようになってるんですわー。」

本当は「シャワー」はせいぜい20秒程度なのですが、
面倒なので突っ込みません。
老人の話に付き合っている間にも洗濯槽(漕?)は回り続け、
残念ながらもう既に手遅れです。僕のなけなしの三百円はパーになってしまいました。
誰だったか、
「自分はいつもポケットに三百円を持っている。
たかだか三百円だが、持っていると何でもできるような気がしてくる。」
とか言った人がありましたが、まさにそれを失った僕はひどい絶望感に襲われたのでした。

34.jpg(←イラストは『ビトイーン』2004-2005ごろ)

思い返せば、僕は「老人キラー」でした。
いえ、最終的に「キル(「キス」ではない。
どっちでもゴメンだが)」されるのは僕なので、
「キラー」ではないのですが…。

与論島に行ったときもそうでした。
芋焼酎(?)を飲みながら自慢話を続ける
老人の話になぜかつき合わされ、
気が付けば小一時間くらい
経っていたでしょうか…。

ホームヘルパーの研修で老人ホームに
行ったときも、元々自転車の会社の配送係だった
という爺さんの話を聞かされました。
北から南まで日本各地を
走り回っていたそうですが、その会社がN社(今は”N”ではありません)に買収され、
仕事を失ったとかいう話でした。
N社の自転車部門が高評価なのはそこの高い技術力に拠るとのことです。
たしかそんな話でした。

さて、僕は日経を手に椅子に座ってみせることで
老人の話の聞き手から開放されようと試みたのですが、
彼は掃除機を手に何やら始めるかと思いきや、作業の手を止め話を再開しました。

何でも、この70リットルの洗濯機は35万円もするそうで、
さらにデカい全自動のドラム式の方は、なんと150万円もするそうです。
リース(レンタル)もあるらしいのですが、そっちには中古のよく故障するヤツが
回されてきてしかも売り上げの半分持ってかれてしまうので全然割に合わないそうです。

また、親切にもこの店には扇風機が設置されており、夏には大活躍するそうなのですが、
不届きな輩がいて、何回も盗まれたことがあるとのことです。ひどい話です。

…というわけ

10月 122008
 2008-10-12T01:05:52+00:00

29.jpgこんばんは。
今回はとっておきの怖いお話をきかせたげます。
前回に続いてこれもちょっと前(8月下旬から9月上旬ごろ?)のことです。

(※ →イラストは『猫(081012)』。本文とは関係ありません。この技法では
「付けペン」を使ったことはなかったのですが、最近使い始めてみました。
ペン先は「カブラペン」です。さすがに今までと比べ、遙かに小回りが
利くので、サイズを小さく仕上げることができます。
120mm×210mmくらいです。サイン失敗。
『愛しのチロ』(荒木経惟)の中の写真を
見ながら描いたが、少しも似てないので問題ないでしょう)

夕方頃だったでしょうか。我が家に来客がありました。
中年くらいの女性です。
「またセールスかなんかかな」と思いつつも返事をすると、

(話は逸れるが、以前、「商品の説明をさせてくれ」という男が来たので、
「じゃあそこでしてくれ、ここで聞いてるから」とドア越しに言ったら、
「ドアを開けろ」「いいからさっさと説明始めろ」
とケンカ気味になったことがある)

「自分はそこの公民館(?)でボランティア活動をしている者だが、
自分の子供のことでちょっと相談があるので聞いてほしい。
突然見も知らぬ方にこの様なことを話すのも妙だが、
なかなか同じような年頃の相談できそうな人間が身近にいないので
あなたにお訊きしたい(※うろ覚えなので要約しています)」…と、おかしなことを切り出してくる。

フツウならここで「お断りします」と言って、それきり何事もないのだろうと思いますが、
ちょっと面白そうだったので、続けて話を聞くことにしました。よっぽど頻繁にセールスとかが来るウチだと、
この手のにはウンザリしておられることでしょうけど、ウチには滅多に来ないので、この様な余裕があるわけです。

そして女は、謝意を述べた後で、娘の話をし始めました。
ちなみに僕は、しばらくドアを閉じたまま話を聞いていたのですが、途中でドアのすぐ隣にある窓を開けたところ、
「開けてくれてありがとう」と感激した調子でお礼を言われました。

「娘は自分と同居していて大学に通っている。最近、一人暮らしを始めたい、と言ってきて、
それを許可すべきかどうか悩んでいる。ピアスをいっぱい付けたりしてちゃらちゃらした格好をしていて、
学校の成績も良くない。そんな娘が果たしてちゃんと一人で生活できるのか疑問だ。」という話で、

「学校の成績は関係ない。生活費は自分で稼いでいるのか、バイトが続いているのならば、
きっと社会に適応できているのだろうし、それならば問題ないのではないか。
心配なら、部屋探しの時ぐらいはついて行ってやって、いろいろアドバイスしてやったらどうか。」等、お答えすると、

「バイトは中華料理屋(王将?)で働いていて、そこはしばらく続いている。なるほど、学校の成績は
悪くてもちゃんと仕事できていればそれでいいかもしれない。」と、納得したご様子。
(※問答はうろ覚え&かなり端折ってます)

30.jpgあと、兄貴がいて、そっちも学業は奮わなかったが
確かに今ではまじめに働いている、ということも言ってたかな。
ほかにもあったかもしれない。

で、まあ、その辺までは良かったのですが、女性は、

こちらのこともいろいろと聞いてくるわけです。
むしろこの方が本題だったのかとばかりに、
やれ年齢や仕事や一人暮らしを始めるに至った経緯や
結婚してんのかとか今日はもう仕事終わったのかとか
根掘り葉掘り聞いてくるわけですよ。

…いや、多分、本当にそれが目当てだったのだと思います。
どう考えてもおかしいですもんね。なんでわざわざウチに
訊きに来たのか説明がつかない。
こんなボロくて怪しい集合住宅に住んでるオッサンを相談事の
ターゲットにするなんて考えられない。初対面ですよ?なんで
オレの年齢が娘に近い(実際は近くないけど)って知ってんの?

おそらく、僕は向こうを知らなくても、あちらは僕のことを知っていたのでしょう。なんだろう…近所の人?
一回くらい合ったことある人で、僕が忘れてるだけなのかなあ?
身体的特徴としては、頭はかなりパーマがかかっていて茶髪、化粧が濃くていかにもおばちゃんライクな雰囲気。
服は黄緑っぽかったような…身長は160前後あたりだろうか。結構インパクトあったのだけど、
そんな人忘れるかなあ…。わからん。

あからさまに怪しい行動なので、僕の調査が目的だとしたら、それはそれでおかしい。
いったい何だんたんだ…マジでわからん…。

でも僕は疑心をなるべく悟られないように親切に質問に答えてあげて、このイベントをコンプリートしましたよ。
うーん、エライぞオレ。若いウチから(若くないけど)やたらと人を疑うもんじゃないっスよ。
いやー、イイ事した後って本っ当気持ちイイですね(実際ちょっとイイ事した気になっていた。単純だ…。
自分は被害者かもしれないのに…)。

あ、職業訊かれたときに「イラストレーター」なんて答えちまったけど、半分嘘だなコレ。
いや、ちゃんと「…だけどイラストレーターだけじゃ食えないんでバイトしてます」って付け加えたから大丈夫!
…でも、それじゃあまるで進行形で仕事できてるみたいだよな。
あーどうせ嘘ですよ。「オレもお前も大嘘つきだ。地獄に堕ちろバーカ。」…って心の中で唱えてやったさ?

…そうそう、「あー、それで…(こんな時間にウチにいるんだ)。」って納得してましたよ。

まあそんなとこです。まあ、たしかに「あの人イイ歳なのにちゃんと仕事してなさそうで怪しい。