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「本当の幸いって一体なんだろう…」(朗読について)

ginga.jpgこんばんは。
朗読がすごい好きなんですよ。
NHK-AMでたまに(土曜や日曜の夜)小説や童話の朗読をやっていて、
それがとても良いのです。
(←※画像はお蔵入りイラスト『銀河を想う』by J.F.クーヤ)

自分で本を読むよりも、何やらぐっとくるものがあります。
自分で声を出して読んでみたらどうだろうと思って、実際試してみたら、
それもまずまず良い感じでした。
でも、常にやってると、本屋とかでも声に出して読んでしまいそうでちょっと怖い(笑)。

今日やっていたのは、「朗読」ではなく、ラジオドラマ仕立てだったのですが、
『銀河鉄道の夜』(宮沢賢治)をコンパクトにまとめてあって、なかなか良かったです。
今、原作を読んでみると、原作には無い場面・展開・台詞もあって、
脚色の方の工夫の跡がよく分かります。

ところで、原作にもある箇所なのですが、「三次空間…」「幻想第四次…」とかいう
言い回しが、なんとなく好きになれません。
「そんなつまんないこと、言わなくとも一向構やしないのに。」
…とか思ってしまいます。

そういえば、小学生の頃に、アニメ映画化されたものを観にいったことがあります。
ジョバンニやカムパネルラが猫人間(?)になっているヤツです。
「なんで猫なんだ」とか、賛否両論あったようですが、
今原作を読んでみると、猫でも人間でもどちらでも…というよりも、
むしろ、「漠然とした何か」であると一番都合がいいかな、と思ったりもします。

いや、スクリーンには何も映さずに、ただ朗読をする、というのはどうだろう。

今手元にある原作本は、その折に買ってもらったもので、
その帯には朱色のインクでジョバンニとカムパネルラが印刷してあります。
確か、僕の記憶では、ジョバンニは藍色で、カムパネルラは赤紫色だったように思います。

鳥捕りは猫人間で、青年と男の子と女の子は人間だったっけ…。
ぼんやりとは憶えているようです。
そういうのは、今朗読を聴いて頭の中に思い浮かべる映像の元になっていたりするのかなあ。
でも、さっき聞いてたときの画像では、顔立ちや姿はぼんやりした人間型だったかな…。

さて、この他にもこれまでに素晴らしい朗読があったので、
それをご紹介しておきます。

・『老妓抄』(岡本かの子)
あまり良かったので、原作の収録されている短編集を買い求めました。

「しかし、それよりも柚木にこの生活への熱意を失わしめた原因は、自分自身の気持ちに在った。
前に人に使われて働いていた時分は、生活への心配を離れて、専心に工夫に没頭したら、
さぞ快いだろうという、その憧憬から日々の雑役も忍べていたのだが
その通りに朝夕を送れることになってみると、単調で苦渋なものだった。

ときどきあまり静で、
その上全く誰にも相談せず、自分ひとりだけの考を突き進めている状態は、
何だか見当違いなことをしているため、とんでもない方向へ外れていて、
社会から自分一人が取り残されたのではないかという脅えさえ屡々起こった。」

…などの箇所は、自分の現状と重ねて見てしまいます。
文章の美しさや、クールな終わり方など、見所は他にもあり、
仮に岡本太郎を産まずとも、彼女だけで充分に優れた人物だったのだと気づかされました。
今まで知らないですまんかった!

chikuwa.jpg・『焼かれた魚』(小熊秀雄)
これも原作(童話集)を買ってしまいました。
(※画像はお蔵入りイラスト『ちくわを狙う』by J.F.クーヤ→)

「焼かれた魚は、海へ帰れると思うと、涙の出るほど嬉しく思いました。
そこで猫は焼いた魚を口にくわえて、奥様や女中さんの知らないまに、
そっと裏口から抜けだしました。そしてどんどんと駈けだしました。

ちょうど街端れの橋の上まできましたときに猫は魚に向かって
『秋刀魚さん、腹が減ってとても我慢ができない、これじゃああの遠い海まで行けそうもない』
と弱音を吐きだしました。魚は海へ行けなければ大変と思いましたので
『それでは、約束のわたしの頬の肉をおあがりよ、そして元気をつけてください』
と言いました。

猫は魚の頬の肉を喰べてしまうと、どんどんとあともみずに逃げてしまいました。」

…という、何ともシュールな内容なのですが、涙があふれてしょうがない。
そして「オイ猫!」とか突っ込みつつ猫らしさに納得。
ちなみに小熊秀雄は「プロレタリア詩人会」というのにも参加したことがあったらしく、
そういう方面の人のようですが、その熱さが僕は好きです。
童話とはいえ、熱い!そして、読んでいて思わず「ええーっ!?」と
驚きの声を挙げてしまう奇想天外な展開をします。

…で、他にもいくつか紹介しようと考えていたのですが、
録音してあるカセットテープの整理ができていないため、あきらめます。
『手袋を買いに』とか『注文の多い料理店』とか『車の色は空の色』、
他にも、最近の作家のものもありました。

朗読されるアナウンサーの方も達者な方です。さすがです。

ちなみに、次回(8/31?)は、『ジャズ大名』(筒井康隆)らしいです。
この、日曜日の分は過去のものを再放送しているようです。
土曜日の分は新作だと思います。

もし良かったらチェックしてみてください。

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