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オッサン、元気ですか…?

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こんばんは。
寒いですね。冬将軍もいよいよ本気出してきた感じで甚だ迷惑です。

以前もお話しましたが、ウチでは空気を暖める暖房をやらないので気温が下がると室温も低くなります。その上、元々血の巡りも悪いので手がかじかんでキーボードを打つのが大変に辛いのです。

そうまでしてブログを更新するのだから、余程のことかと思いきや、今日もまたどーでもいい、毒にも薬にもならないお話です。

写真(↑→)は、大阪は梅田の大歩道橋です。サッカーボール頭の超人の背に「2002」と書いてあるのでおそらくその頃の写真なのでしょう(覚えてない)。ワールドカップでもやってたのでしょうか(覚えてない)。

今日お話しするのはついこの間(昨年末)の出来事なのですが、そのときの写真は無いので場所的には同じこの写真を引っ張り出してきました。

そう、ちょうどクリスマスシーズンで賑わう街、それとは無関係な僕とオッサン(※僕もまあオッサンだが、彼の方がもっとオッサンなのです。60代くらい?むしろジイサンだろうか…)、二人は、この歩道橋の上で遭遇したのでした…。

オッサンはどうやら絵を売っていて、しかしキャリーバッグにそれらを括り付けてあるので、どうやらここを引き揚げて別の場所に移動しようとしている様子でした。

オッサンと目が合って、何やら僕を呼び止めたようだったので(よく聞き取れませんでしたが)、僕はオッサンのほうへ近づいてゆきました。

「絵を売っているんですか?」
「そうや日本中を歩いて、絵を売ってるんや。」
「日本中っていうと、北海道とか沖縄にも行くんですか?」
「そうや、まあ、あんまし田舎の方まで行ってもしゃあないから、こういう都会が多いけどな」
「今日はもうおしまいですか?」

…そんなやりとりをしたのですが、詳細はあまり覚えていません。ただ、特にどこかへ移動しようというわけでも無いようでした。
「さっきデパ地下、デパートの食品売り場行って試食してきたったんや!がははは。」
荷物がまとまっていたのはそのためだったようです。

オッサンは僕に絵を見せてくれます。
「これ何か分かるか?」
「これは富士山ですね?」
どうやら富士山を描くのが好きなようです。あとは、虎の絵や、何やら抽象っぽいのやら。正直ヘタクソで、強いて言えば「子供の絵のような伸び伸びとした良さが、僅かにある」といったところでしょうか。

それでも僕は、多少はマシなものを選んで「これはいいですね」などと一応褒めてみたりもします。するとオッサンは雑誌の切抜きと思しき物を指しながら、
「これにワシが載っとる。」と自慢げな顔をします。
どうしてこんなオッサンに取材をしたのか、余程ネタに困っていたのか分かりませんが、どうやら東京ローカルな雑誌に掲載された模様です。
「へえ、すごいですね。」
別に凄くもなんともないのですが、軽薄な若い女のようにそんなことを言ってみたりもしました。

「絵は売れますか?」
「そうやなまあ、たまにやな。」
「ずうっと日本中を回っているのですか?」
「おう、ずっと徒歩で移動してるからワシもうこの歳やけど、病気なんかしたことない。健康と、あとは清潔にしてるのが人間一番大事なことやで。見てみい、会社員なんか、ええもん食っとんのやろうけど運動せえへんからメタボやら何やらっていって…(しばらく続く)。」

健康そうなのは確かでしたが、少し臭っていたので、清潔というのは微妙なところです。
馴れ馴れしく僕の肩を何度も軽く叩いたので、申し訳ないのだけどちょっと(汚い手で触られているのではないかと)気になってしまいました。

それから、昨今の不況について、
「企業なんか端から信じるからアカンねや。『企業』って『企てる』って書くやろ?そもそも初めからワシらを騙そうとしとんのやから、そんなもん信じる方がおかしい。」
と語っていました。「企てる」というのにうっかり、
「ああ、本当にそうですねえ!」
などと素直に納得してしまいました。

そんな僕の様子を見て、「コイツならイケる」と踏んだのか、
「にいちゃん絵ェ買わんか」と来たので、
「今ちょっとお金無いんで…」とやんわり断ると、
「みんなそう言うけど、『無い』っちゅうのはどれくらい無いんや、本当に全然無いんか?この哀れな老人にちょっとでもカンパしようっちゅう気は無いんか?面白い話したったやろ?『話し代』ってここにも書いてあるやろ(確かに書いてあった。なんとただ話しするだけで金取ろうというハラらしい)??」
と、キレ気味にからまれます。
そこで
「だってオッチャン元気そうで全然大丈夫そうだし」
と言って背を向けると、
「そういう(弱く見せる)のがアカンねやろ…」と、引き続きボヤいていたので、少し申し訳ない気持ちもあって、僕は振り返り、軽く会釈をして再び歩き出した。

(終)

P.S. ちなみに、実はその時は本当にお金が無く、もしあったなら”カンパ”なりしてあげてもよかったのだし、オッサンに会う前にも、「難病治療のため渡米して手術を受けさせたい」というので募金活動をする一味があったので、彼らにも協力してあげたかった。…が、今もやはり金銭的には厳しい感じでして………ごめんね(イラストの仕事が来ればなー。来ればなー…)。

2件のコメント

  1. 私も宗教、募金、勧誘の人には呼び止められやすいタイプなので様子が分かります。 このようなおっさんには温かい缶コーヒーをあげるといいですよ。 長引かず、後味良く去ることができます! 一度試してみてください。

  2. 温かい缶コーヒーあげるのは本当のいい人です。僕にはそのような金銭的余裕の無いことが多いので、できれば「生暖かい同情を寄せるだけで何もやらずに感謝される」を目指したいです。
    でもあのオッサンはどこか憎めない感じだったので、またいつか見かけたら「カンパ」してあげてもいいかな。もし自分が落ちぶれても、あれくらいポジティブ(?)であってほしいな。
    その時には、温かい缶コーヒー、頼む。

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